上席顧問津田克彦先生のブログ
【津田克彦の「個人の意見です!」】第2回「幼児期のクセ」
2022/10/18 公開
2023/08/22 update
幼児期のクセ
「なくて七癖」という言葉があるように、人には、何かしら「クセ」と呼ばれるものがあるものです。「出したら出しっぱなし、ちゃんと元の場所に戻しなさい」とよく母に叱られたものです。これは生活習慣の問題で、本人の努力や周りの人の口うるさい(?)注意で直すことが可能です。
私がここで言う「クセ」とは、生活習慣からくるものではなく、本人も無意識のうちにしてしまう行動のことです。
私も子どもの頃は「クセ」の多い子でした。母からよく「やめなさい」と注意を受けたものです。例えば、爪を噛んだり、チック症状(盛んに瞬きをするなど)です。幼児や低学年の子どもの中には、これ以外にも指しゃぶりや性器いじりなど、保護者の方々が心配されるような「クセ」をくり返す子どもがたくさんいます。中高学年になると、指しゃぶりが鉛筆を噛むことに変わったり、髪の毛や睫毛を抜いたりする児童も出てきます。
クセの多い子どもを見ていると、保護者の皆さんはとても心配されてます。厳しい口調で「だめでしょ!」と何度も注意を繰り返したり、しゃぶる指に苦い薬をぬる、常に口にするタオルを取り上げるなど、強硬手段に出る場合もあります。
しかし、クセを直させようと強硬手段に出るのは効果的ではありません。逆に、あまり強く指摘し続けると悪化していく場合もあります。クセの行動を指摘して、厳しく叱るよりも、そのようなクセが繰り返される原因を探っていくことが大切です。
クセが多い子=しっかりしている子?
クセの多い子どもは、しっかりしている子が多いと言われています。また、感受性の強い子どもなのです。その子ども達が、心が満たせれない状況に置かれたとき、心理的ストレスが溜まります。幼児や低学年の子どもには、ストレスの原因は自分ではわかりません。無意識のうちにストレスの解消方法としてクセと呼ばれる行動に出るのです。もし、我が子がストレスを抱えているのではと思ったら、子育てをちょっと振り返ってみてください。「年齢にそぐわないしつけとその結果を求めていないか」「過度な期待から達成できない(親の期待に応えられない)という不安を与えていないか」「同年代の子どもと比べられることで劣等感を抱かせていないか」「第2子誕生などで孤独感を味わわせていないか」「園や学校での出来事を伝えたい子どもの話を最後まで目をあわせて聞かず、子どもが言いたいことが言えていないのではないか」など。
幼児期や学童期のクセは、青年期へと成長する間にほとんどは解消されます。保護者としては、ストレスと思われる原因はしっかり探り、対処しつつも、クセそのものにあまり神経質になることなく、「そのうちに治まるだろう」ぐらいの気持ちで接していくことが効果的です。
ちなみに私の幼児期のクセ(爪噛みやまばたきのチックなど)は、野球などの運動に興味を持ち始めた3年生ごろには治まっていました。ただし、生活習慣に関する悪いクセ(出したら出しっぱなしなど)はいまだに直っていません(笑)
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上席顧問 津田克彦
元私立小学校校長、元大阪府私立小学校連合会会長。
プラチナム学習会では保護者相談、進学指導、及び、「小学校受験対策集団コース」を担当。元私立小学校校長の長年の経験を活かした、噂に左右されない本質的な指導で万全の準備を進めます。特に小学校入学後に後伸びできる子ども達の指導に努めています。
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