泉谷顕縦塾長の地頭力コラム
PLATINUM スキル2.2へ ② ~差し迫る日本の教育のあり方~
2019/01/05 公開
2018/12/28 update
◆学力を落としている日本とSTEM教育◆
OECD(経済協力開発機構)では、将来的な世界経済の発展をめざすうえで教育・人材育成の視点が不可欠であることから、
国際調査「生徒の学習到達度調査(Programme for International Student Assessment)」(以下、PISA)を実施しています。
2000年にスタートし、3年ごとに行われているこの調査に、日本も初回から参加しています。
調査対象は、多くの国で義務教育修了段階にあたる15歳(日本の場合は高校1年生)。
学校や生活の中で学んできたことを社会生活で直面するさまざまな課題に活用する力がどの程度身についているかを測ることを目的とし、
「読解力」、「数学的リテラシー」、「科学的リテラシー」の3分野を中心に調査が行われています。
学校制度の質、公平性、効率を評価するOECDのPISA調査の最新結果によると、シンガポールの成績が世界のトップになりました。
その他、香港やマカオ、エストニア、カナダ(ギフテッドの制度がある)などが上位を占めています。
日本は、2003年、2006年のPISA調査において、順位・平均得点とも大きく低下しました。
この「PISAショック」をきっかけに国を挙げた教育改革がスタートしたのです。
とくに、2002年に実施された学習指導要領による、いわゆる“ゆとり教育”に対する批判は大きく、“PISAショック”
当時の第1次安倍内閣は2006年に教育再生会議を立ち上げ、学習指導要領の改訂や教員免許更新制度の制定などを進めました。
また、2009年、アメリカではオバマ大統領の就任に伴い、「STEM教育」が本格化しました。
就任演説の中でアメリカ国民に向けて、「ゲームで遊んでいる場合ではない。ゲームを作る側にまわらなければ、アメリカの将来はない。」と強く呼びかけました。
「STEM教育」とは、「Science」(科学)、「Technology」(技術)、「Engineering」(工学)、「Mathematics」(数学)の頭文字を取ったもので、ここに「Art」(芸術)を加えて「STEAM教育」と呼ぶ場合もあります。
もともとはアメリカで国家的に進められてきた教育方針でしたが、現在はヨーロッパやアジアでもSTEM教育(STEAM教育)が大きな関心を集めています。
日本におけるSTEM教育の取り組みは、まだまだ始まったばかりですが、ようやく、2018年に日本STEM学会が設立されました。
学力でトップを誇っていた日本ですが、現実を直視すれば、世界とは10年の遅れを感じるほどになっているのが現状なのです。
リーマンショック前後のこの20年、主要国のなかで日本のGDP(国内総生産)だけが減少し、他国の後塵を拝してきました。
日本市場がGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に事実上占領されつつある中、教育の枠組みも大きく変えざるをえない状況となってきました。
世界では22世紀を視野に入れた具体的な教育に力を入れ始めました。
教育にブロックチェーンやフィンテックが導入され、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)を用いて授業をしている国さえあります。
AI(人工知能)と共存する近未来の社会が訪れたとき、教育が世界水準から10年も遅れていたら、日本社会はどうなってしまうのでしょうか?
日本の教育がどうあるべきかを考えていく必要が差し迫っています。
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塾長 泉谷顕縦
プラチナム学習会塾長。
21世紀に生きる子どものための幼児教育教室。
大阪を拠点に東京や全国に展開しています。
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